デフレの谷 2009 3 28
残念ながら、今回、デフレの谷は深くなりそうです。
私は、日本には、構造的なデフレ要因が二つ存在すると書きました。
(下記の「構造的デフレ 2009 1 10」を参照)
その上、今回、不景気という要因が加わったので、
デフレの谷は深くなると言わざるを得ないのです。
不景気は、いつか解消するでしょう。
しかし、このままでは、構造的なデフレ要因は永続するでしょう。
政府は、景気対策よりも、
構造的なデフレ要因を解消することを優先すべきです。
100年デフレ。
2003年頃に言われた言葉です。
あれから6年。
何も変わっていないのです。
政府は、その間、円安に誘導して、一時しのぎをしていました。
(為替レートは、実質実効為替レートで判断すべきです)
これを、政府は、景気回復と称していましたが、
根本的な問題(宿題)には取り組まなかったのです。
水位が下がれば、つまり不景気になれば、構造的な問題(宿題)が浮上する。
私は、「本当の構造改革に取り組め」と主張しましたが、何も変わっていないのです。
「人口ピラミッドがひっくり返る時、どうなるか」
これが、日本における最大の問題です。
日本においては、社会保障制度だけでなく、日本社会そのものが、
「人口構造がピラミッド型であること」を前提としているのです。
こうした問題の解決に全力で取り組むのか。
それとも、逆ピラミッド型の人口構造を受け入れて、日本社会の大転換に取り組むのか。
構造的デフレ 2009 1 10
今朝の新聞に入ってきたチラシを見ると、
デジタル家電が、「こんなに安くていいのか」と驚くほど、
値引き合戦となっています。
この価格では、家電メーカーは利益が出ないでしょう。
日本には、構造的なデフレ要因が、二つあります。
まず、第一は、子育て費用増大によるデフレでしょう。
時々、聞かれることは、こういうことです。
「なぜ、児童手当は、小学校までなのか」
子供が大きくなればなるほど、子育て費用が増大するのに、
「なぜ、児童手当は、小学校までなのか」という疑問は、当然でしょう。
今から10年ぐらい前は、児童手当は、幼稚園までだったと思います。
実は、それでも問題がなかったのです。
昔の日本は、賃金体系が年功序列型となっていましたので、
子供が大きくなって、お金がかかるようになっても、
年功序列型で賃金が増えていましたので、問題は発生しなかったのです。
ところが、今の日本では、年功序列型の賃金は消滅してしまったかもしれません。
しかし、子育て費用は、子供が大きくなればなるほど、増えていきます。
そうなると、どうなるか。
不要不急の商品に、強烈なデフレ圧力がかかります。
たとえば、消費者は、デジタル家電に「強烈な値引き」を求めることになります。
そういうわけで、家電メーカーは、いくら売っても儲からないという構造になります。
私は、過去にも書きましたが、
年功序列型の賃金体系の復活が難しいならば、
せめて、賃金体系の中に、育児に関する手当を作って、それを年功序列型とすべきでしょう。
たとえば、育児手当は、最初は少なくても仕方ないでしょうが、
子供が小学校高学年になったら、
育児手当が、毎年、1万円ずつ増えていくという方式です(18歳まで)。
(小学校高学年ぐらいから、子育て費用は、加速度的に増えていくでしょう)
第二に、これは、多くの方が、ご存知でしょうが、
少子高齢化が、デフレ圧力となります。
現在のところ、日本は、目立って人口が減少していませんが、
人口構成が変わってきています。
高齢者が増えて、子供が減ってきています。
これは、消費低迷を意味します。
高齢者は、消費活動性が低いでしょう。
人口は変わらないけれど、需要は減っていくというパターンです。
需要が減れば、当然、価格は下がります。
これは、長期にわたるデフレ圧力となるでしょう。
少子化対策は、国策とすべきで、
あらゆる政策の中で、最優先事項とすべきでしょう。